Fifth ★★★

5

Soft Machine / Fifth

::★★★::1972::Columbia::pop::rock::
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■ 前作の延長線上だが小粒

最初聴いたときは、「クソが!」と思ったりもしましたが、聴きこむうちにけっこう好きになってきました。前作と同じくインスト、ジャズ・プログレ路線で、長大な「Third」からするとえらいこじんまりした作品だし、また、ロバート・ワイアットも不在ということで、一般的にはあまり評価はかんばしくない作品ではないかと思います。でも、「あのソフト・マシーンのアルバム!」という看板をとりされば、タイトで良いジャズ・ロック・アルバムだと思います。タイトといっても、リズムがファンキーというのではなく、どちらかというとどこか耽美的なところがあって、それは一曲目に顕著なんですね。

で、最初聴いたときは、「なんだこのかったるい音世界は!」と思ったのですが、曲のこまかいところに注意が行きとどいているので、聴きこむとけっこう良いなと思うようになるんです。「M.C.」という曲は、マイルズ・デイビスの「In The Silent Way」をダークにしたような耽美的ジャズ・ロックですが(つまり、スクエアプッシャーの「Music Is One Rotten Note」にも雰囲気が似ている)、シンバルなどの金物を多用するドラムの音処理やプレイがよくて、のちのダブやアンビエントなんかに近い雰囲気さえあります。続く「As If」も良いですね。

この手のジャズっぽいアプローチをするうえでは、ソフト・マシーンは、ジャズの一流プレイヤーと張れるほど即興に優れたプレーヤーがいるわけではないのでそこが不利ですが、全体としては良い演奏だと思います。特に、ドラムが小粒ながらタイトで良い。もちろん、ワイアットのようなカリスマ性はないんですが、必要最小限のタイトなプレイをしていて、全体をひきしめています。(1/7/07)

アルバムとしては、決定打となる曲やきわだったコンセプトがないのが残念ですけど。でも「5」〜「7」では一番良いアルバムだと思う。 (1/29/03: 最終改訂 1/10/07)