Fire Of Unknown Origin ★★★★

Fire of Unknown Origin

Blue Oyster Cult / Fire Of Unknown Origin

::★★★★::1981::Columbia::pop::rock::
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■ ヌルいB級80年代ハードロック だがそれがいい

なぜかリアルタイムで聴いたアルバム。不気味さただようジャケと奇妙なバンド名とは裏腹に実にヌルい内容。ポップなAORハードロックといったところか。でもまあ、そこがいいんだけど。

1曲目のタイトルトラックからして、80年代まるだしのダサいシンセがイカします。このダサさが良い。2曲目のヒット曲tr2「Burnin' For You」は、超ポップ。レゲエ調のキーボードに、BOCの特徴である押しの弱い甘いトーンのボーカルが良い感じ。それでいて、サビの綺麗にディストーションの聴いたギターはけっこう不思議な不気味さがあって、その奇妙なバランスがおもしろい。まあ、腐れAORハードポップという感じだけど。

で、その後もtr3「サイキック戦争の退役軍人」、tr4「たったひとりの生存者」、tr6「復讐」など、SFホラー風の曲名に、ヌルいポップロックが続くわけですが‥いや、ほんとにヌルい世界なんですが、このヌルさも「アメリカの気のおけないホラー・SFマニアのつくったバンド」って感じで、これはこれでリアルな音楽だと言えるのかもしれません。

カルト映画「愛と憎しみの伝説」(Mommy Dearest)を題材にしたtr8「Joan Crawford」なんて、サビが「ジョーン・クロフォードが墓から蘇えってきた〜♪」というもので、良い大人がなにを言っとんじゃと思わず失笑‥しつつも、まあ、悪くないんだけどね、このヌルさとダサさが。

プロデュースはアイアン・メイデンの諸作で有名なマーティン・バーチ(ディープ・パープルの最盛期のエンジニアとしても有名)で、ギターの音が、BOC独特のヌルさながらもヌケが良い音に録れていて、そこもグッ。

BOCはこのアルバムを最後に消えていきます。てゆうか、パンク〜ニューウェーブの波の中で81年まで生きのこれただけでもエライかも、おっちゃんたち。