Friends ★★★

Friends / 20/20

The Beach Boys / Friends

::★★★::1968::Capitol::pop::rock::
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■ 地味だが後期ビーチボーイズの方向性を模索し始めた佳作

さて、ひたすら斜陽を行くビーチ・ボーイズの1968年の作品。しかし、市場にはほとんど無視されていたも同然だったこの時期の彼らですが、しかもブライアン・ウィルソンが退きつつある時期の彼らですが、内容は悪くないのですよ。つまり、ブライアン以外のメンバーも、でぐのぼうだったわけじゃなかったわけです(失礼なことを‥)。冒頭のマイク・ラヴの小曲のメロディからして素晴しく美しいのですね。続く「Friends」も良いです。このあたり、Smiley Smileの実験性をふまえつつ、より作品としての形をつくりあげたという感じでしょうか。すでにひきこもり状態だったブライアン・ウィルソンの曲では「Passing By」が輝いてます。歌詞のない小曲ですが、やはりブライアンの曲というのはどこかガラスのような美しさをたたえています。その他で注目すべきなのは、決して表にでることのなかった、ワイルドなドラマー男、デニス・ウィルソンが提供し、歌った「Little Bird」、「Be Still」の二曲です。ワイルドな素行とは裏腹に、デニスの曲とボーカルは、驚くことにですね、非常に物しずかで憂いをたたえたものでした。いや、実際、声も非常に魅力的でして(声質だけならビーチ・ボーイズで一番良いかも‥)、うーん、これまで歌わなかったのが惜しまれるところです。他、アンビエントなインストの「Diamond Head」あたりも新基軸で良いですね。この時期、マイク・ラヴが冥想系宗教にはまってたころで、その色があるのがちょっとうっとおしいんですが、なかなかの好作品。 (9/8/02)