What's Going On: 2001 Deluxe Edition ★★★★★

What's Going on (Dlx) (Dig)

Marvin Gaye / What's Going On: 2001 Deluxe Edition

::★★★★★::1971b/2001::Motown::soul::r&b::
iTMS US(デラックス)/ iTMS J(デラックス)

モータウンの再発のやり方には非常に疑問があるのですが(60年代のアルバムが冷遇されている、60、70年代に発表されたベストアルバムを、収録時間30分ぐらいなのに追加曲なしにCD再発する、熱意も工夫もこだわりも感じられないテキトーなベスト盤を無責任に乱発してお茶をにごす、未発表曲を少しずつ切り売りする)、この2枚組はなかなかスゴイです。まず、Disc Oneには、オリジナルの「What's Going On」全曲のあとに、「Original Detroit Mix」と称する別ミックスの「What's Going On」が丸々入っていて、1枚で2回アルバムが楽しめます。この「Original Detroit Mix」はマーヴィンが留守の間にミックスされた最初のバージョンらしいんですが、一般に出た公式ミックスとはかなり違います(演奏は同じですが)。公式版ほど曲がつなげられてなくて曲の独立感が強く、ストリングスがひっこんでいて、パーカッションがより前面に出ています。やはり公式ミックスのほうがずっと良いのですが、この「original Detroit mix」の生っぽい感じも興味深いですね。

いっぽうDisc Twoには「What's Going On」当時のライブが納められています。このライブは、後の、「Let's Get It On」以降の熱狂的ムードとは違い、非常に静かな雰囲気で、ボーカルも演奏も丁寧です。その分スリルにかけるので、手放しで「素晴らしい!」といった感じの内容ではありませんが、興味深い歴史的な録音だと思います。音質もけっこう良くて、やたらと数がでている80年代ツアーのクソみたいな音質とは比べ物になりません。Disc Twoの最後には「What's Going On」と「God Is Love」のシングルバージョン、「Sad Tomorrows」(=Flyin' High)、「"Head Title"」(=Distant Loversのデモ)といったレア曲が入っています。いずれも特筆すべき出来ではありませんが、「What's Going On」のシングルバージョンの収録は有り難いですね。

というわけで、ややコレクター向けの内容ではあるものの、非常に良い再発アルバムだと思います。ちなみに「What's Going On」には、他に、豪華装丁で1枚組のバージョンもでていて、スペシャルトラックなどは収録されていないのですが、音は普通のやつよりは若干良い音なので、今は出回ってないかもしれないけど、マーヴィン・ゲイ初心者にもお勧めです。もちろん、普通の廉価バージョンでも内容の素晴らしさには特に遜色ないので問題ないです。 (4/7/02)