Weasels Ripped My Flesh ★★★★★

Weasels Ripped My Flesh

The Mothers Of Invention / Weasels Ripped My Flesh

::★★★★★::1970b::Bizarre::pop::rock::
iTMS US

(zappa catalog #10)

実際には数年まえに解散していたオリジナル・マザーズ。つまり、前の「Burnt Weeny Sandwich」、そしてこの「Weasels Ripped My Flesh」(邦題「いたち野郎」!最高の邦題ですね)は拾遺的なアルバムなのですが、拾遺でもすばらしい出来なのが60年代ザッパのおそろしいところ。

このアルバムはライヴ音源とスタジオ音源を自在にくみあわせたアルバム。ザッパには「スタジオ盤」「ライヴ盤」の区別がないということはよく言われることで、すでに「Uncle Meat」でライブ音源がコラージュされていますが、このアルバムでははじめて、ライブ音源が楽曲としてきちんと収録され、スタジオ録音と同等に共存しています。

ここに収録されているライヴ録音ですが、いずれも前衛的なものばかり。一方スタジオ録音はポップなものが中心で、このあたりにザッパのエンタテイナーとしてのバランス感覚をみることができます。

ぼくはA面にあたる1〜5曲目が非常に好きなんですが、特に、4曲目「Toads Of The Short Forest」が好き。リリカルなスタジオ演奏から一転ライヴ音源ににスイッチ。そこでは、5/8拍子、3/4拍子、7/8拍子が同時に鳴る中、サックスがはげしくブロウ。そしてザッパの指揮でいっせいに不規則な変拍子へ。そしてブレイク、「Hands Up!」というシャウトとおもにサックスが叫びをあげ、次の瞬間バーンと3拍子が爆発。ザッパの指揮下におけるこの変則的な演奏に、マザーズのライヴのおもしろさがよくつたわります。同時に、在り方として非常にジャズ的。ザッパのフリー・ジャズ的アプローチということができるかもしれません。

一方、スタジオものでは、なんといっても、2曲目「Directly From My Heart」(リトル・リチャードの曲のカバー)が最高! ドン・シュガーケインの甘いヴォーカル(シュガーケインがヴォーカルで参加したのはのちに発表された未発表曲を除けばこれだけ)、炎のヴァイオリン・プレイをたっぷりたのしめます。特にヴォーカルが良いのです。シンプルきわまりないドラム(ジミー・カール・ブラックかな)のレイドバックした響きもええんですわ。

とにかく良いアルバム。 (9/16/02)