200 Motels ★★★★

200 Motels: Original MGM Motion Picture Soundtrack [Enhanced CD]

Frank Zappa featuring The Mothers of Invention / 200 Motels

::★★★★::1971b::United Artists::pop::rock::

(zappa catalog #13)

フロ&エディ期だけでなく、ザッパの歴史を通じても、最高の部類にはいるはずのこの力作ですが、映画と連動していたということ、それから、フル・オーケストラを雇っていたというこの二点によって、逆に不遇の位置付けに追いやられてしまった作品です。ザッパは自伝やインタビューでよく語ってますが、オーケストラを雇うととにかくさまざまな制限、そして膨大なお金がかかるということなんですね。だから、このアルバムもおそらくかなりの強行日程で録音されたと思われます。それゆえ、特に音質面で少々不満がのこる出来となっています。完璧な録音をとりおこなう予算や時間がなかったのでしょう。また、映画と連動していたということで、このアルバムは映画配給をしていたUnited Artistsが長年権利を保有していたことがこのアルバムの不遇さに拍車をかけています。United Artistsにしてみれば、ザッパのアルバムなんてどうでもいい存在だったでしょうからね。実際、このアルバムがCD化されたのは1997年になってからのことです。で、このCDもLP版と大して音質がかわらないのが悲しいところです。

でも、内容的には本当に力作なんですよ。このアルバムは、フロ&エディをフィーチャーするロックンロール曲と、初のフル・オーケストラによる現代音楽がいりまじっており、このいりまじり方が映画同様破天荒です。現代音楽曲は、短いものばかりですが、それだけによく練られており、すべて良い出来。女性ソプラノ・シンガーを中心にしたクラシック系のボーカルも効果的で、後のザッパはあまりこういうボーカルを採用することがなかったことを考えても興味深いです。しかし、先も書いたように、音が悪く、少しもひろがりがないのが残念なんですよね。だれか、200モーテルズの音楽をまるごと再演して最新の録音設備で録音するような酔狂なことやってくれないでしょうか。‥まあ、ムリでしょうね。

ちなみにCD版には、映画のラジオ・コマーシャルが何バージョンかボーナストラックとして入っていて、これがすごく手作りっぽくショボくて、なかなか良いです。 (9/20/02)