You Can't Do That On Stage Anymore vol 2: The Helsinki Concert ★★★

You Can't Do That On Stage Anymore - Vol. 2

Frank Zappa / You Can't Do That On Stage Anymore vol 2: The Helsinki Concert

::★★★::1988::Rykodisc::pop::rock::
iTMS US

(zappa catalog #52)

このアルバムはルース期のザッパの最後期、マニアの間では「ヘルシンキ・テープ」と呼ばれていた伝説の音源の正式リリースです。ということで、いろんなコンサート音源のごった煮である「You Can't Do That On Stage」シリーズの他の巻と違い、このアルバムはCD二枚、ヘルシンキでの1974年9月22日のコンサートからの音源のみで構成されています。このヘルシンキのコンサートの音源が伝説化されていたのは、ひとつには非常に演奏のクォリティーが高かったということが第一にあり、第二に、このコンサートの演奏をベースに、「One Size Fits All」の代表曲「Inca Roads」が構築されたということがあります。ということで、歴史的に重要な録音であるわけです。

しかし、ぼく個人はそれほどこのアルバムは好きではないのです。この時期は超絶技巧ルース期マザーズの最後期ということで、「目をつぶってでも演奏できた」ほど演奏と技術が練りあげられていたこともあり、ここで聴ける演奏も素晴しい。ただ、あまりスリルがないんですよね。「Roxy And Elsewhere」や「One Size Fits All」で聴ける、同じクォリティーの演奏がここに繰り広げられている。また、曲も既発曲ばかりだし。コンサートの「完全版」なので、ところどころ冗長さも隠せない。ということで、ザッパがリアル・タイムでこの音源を発表しなかった理由が良くわかる気がするわけです。つまり、特に改めて発表する必然性がなかった。とはいえ、こうして正式発表されたのは喜ばしいことで、歴史的意義を再確認することができるのは良いことです。そんなアルバム。 (6/25/03)