Over-Nite Sensation ★★★★

Overnite Sensation

The Mothers / Over-Nite Sensation

::★★★★::1973::DiscReet::pop::rock::
iTMS US

(zappa catalog #17)

実験的なオリジナル・マザーズ、台詞劇的なタートル・マザーズ、そしてインスト中心のジャズロックなアルバム2枚を経てあらたに方向転換をしたザッパ&マザーズは、うってかわって非常にオーソドックスなボーカル・ロックとあいなりました。その第一弾がこのアルバムで、商業的にもそこそこ成功し、アメリカにおいてはこのアルバムが一般的に一番有名で人気のあるザッパのアルバムということになろうかと思います。ボーカルはザッパが中心で、決してうまくはないが独特のねばりのあるバリトン・ボイスを中心に、ファンキーなブルーズロックが続きます。ザッパとPファンクの共通点はよくとりざたされるところですが、このアルバムあたりがもっともPファンクっぽい雰囲気があるように思います。ファンカデリック系ね。Pファンクよりもずっとこじんまりとしてるけど、すっとんきょうな女性ボーカル(ティナ・ターナー&ジ・アイケッツ)やら低音ボーカルやらが交錯するところがPファンクっぽいんだよね。Pファンクほどファンク色はないけれども、微妙にファンキーなところ、そして微妙にハードロックっぽいところがあるところも。音がこもっていて、ドラムとかも奥にひっこんでいる感じで、このしょぼい感じもPファンクのスタジオアルバムっぽいかもしれない。ぼくはかつてこのアルバムのこもったような音が嫌いだったんですが、今聴くと、このこもった音が逆に良いかなとも思ったり。のちの「ロキシー」や「ワンサイズ」のような「ルース期マザーズ」ならではの超絶テク演奏はまだあまり聴かれず、どちらかというとレイドバックしたロックですが、その素朴さが持ち味の好アルバムだと言えます。 (6/25/03)