Sleep Dirt ★★★★

Sleep Dirt

Frank Zappa / Sleep Dirt

::★★★★::1979::DiscReet::pop::rock::

(zappa catalog #25)

「ザッパの意思に反してワーナーによって発売された三部作」の二作目。で、この「不本意三部作」のうちで唯一注目に値するアルバムだとぼくは思ってます。って、暴言?

このアルバムは、ジャズロック路線のザッパの作品の鬼っ子と言える作品なんですよね。曲を紹介していきますと。

まず冒頭「Filthy Habits」は、テリー・ボジオ期のシンプルなインストで、ちょっとキング・クリムゾンっぽい?

続くtr2、3、5は、女声ボーカル(サナ・ハリス)入りのジャズボーカル曲 with プログレ風味で、ザッパの曲としては異色かも。オペラちっくになるところがあって、ぼくはあまり好きではありませんが、tr2「Flambay」はわりにまっとうにジャズボーカル曲っぽくて良いかも。

tr4「Regystian Strut」は、ルース期の録音のインストですが、ちょっと「Grand Wazoo」に雰囲気が似てるかも。ただ、即興はあまりフィーチャーされてなくて残念。てゆうか、このアルバム、ソロ演奏中心の曲ってあまりないですね、よく考えたら。それじゃジャズロックじゃないだろって感じですが、それはともかく。って何が「ともかく」なんだか。

ま、それは置いておいて、このアルバムの白眉はラスト2曲です!

まず、tr6「Sleep Dirt」は、アコギ二本のみによるインストで、ちょっと習作っぽい曲ですが、「ザッパのアコースティックものにはずれなし」の法則が今回も生きております。非常に良い曲。そしてなぜか「レザー」に未収録。

さらに当アルバムラストのtr7「The Ocean Is The Ultimate Solution」、これが超名曲! ザッパ(g)、パトリック・オハーン(b)、テリー・ボジオ(dr)の三つ巴(ギターのオーバーダビングあり)による壮絶な13分40秒。即興ソロ中心。とにかくボジオが凄い。ザッパ時代のテリー・ボジオの演奏としては最高にシャープで切れ味が良いのでは? ツーバスの使い方が独特すぎます。オハーンのフレットレス・ベースのソロも素晴しい。これもオハーンのザッパ時代のソロ演奏では最高のものでしょう。ザッパのギターソロは、まあまあで、とびぬけて素晴しいわけではないですが(ザッパのギターソロなら他に山ほど聴けるし…)、クライマックスではボジオもかなり激しくドライブしており、インタープレイとして聴き応え十分。結果、全体として、ザッパのインストの最高の一曲となっております。で、「レザー」ではこの曲が5分も削られているという暴挙が。絶対フルバージョンじゃないとあきまへんよ、この曲は(って当アルバムのバージョンとて編集はされてるわけですが)。

ということで、このラスト二曲のおかげで、この「Sleep Dirt」というアルバムの価値は非常に高いものになっているわけです。少なくてもオレ的価値は。 (10/28/06)