Welcome To The Cruel World ★★★

Welcome to the Cruel World

Ben Harper / Welcome To The Cruel World

::★★★::1994::Virgin::pop::rock::
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ベン・ハーパーのデビュー作。2作目以降の、バラエティーに富んだエレクトリックなアプローチが見られず、「ワイゼンボーンのスライドギター、一本さらしに巻いて」的スタイルを最初から最後まで貫いているので、ハーパーの持ち味である「フォーキーだけどエキセントリック」という部分の「エキセントリック」なところがあまり出てません。ということで評論家にはあまり評価が高くない作品ですが、ぼくはけっこう好きです。ぼくはtr2「Whipping Boy」のプロモビデオを観て、このアルバムを買ったんですよね。この曲はクリス・ダロウという人の曲らしいんですが、ブルージーなスライド・ギターに、ファルセットを多用したちょっとヘンなハーパーのボーカルが乗るが印象深かった。アルバム自体は、実にオーソドックスなフォーキー・ブルーズ。冒頭のtr1「The Three Of Us」からしてえらいセンチメンタルなギター一本のインストだしね。tr5「Waiting On An Angel」とかtr9「Pleasure And Plain」もとても叙情的な弾き語り曲で、ハーパーらしくないといえばらしくないけど、こういうのもなかなか良いです。ロッキッシュな曲ではtr4「Don't Take That Attitude To You Grave」やロドニー・キング事件を扱ったtr8「Like A King」あたりが良いかな。ラストから二曲目のタイトル曲(「残酷で無慈悲なこの世の中にようこそ」)はニヒリスティックでネガティブな歌詞ながら非常に美しい曲で好き。Maya Angelouという人の詩に曲をつけたラストの「I'll Rise」は一転力強く、ハーパーの基本的スタンスを宣言するような曲。インパクトはないけれどもなかなか良い作品です。 (2/21/05)