Ultimate Collection ★★★★

Ultimate Collection

Lee "Scratch" Perry / Ultimate Collection

::★★★★::2000::Hip-O::reggae::dub::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

ジャマイカン・ダブのオリジネーターの一人であり、奇人&カリスマであるリー・ペリーの60、70年代の曲を中心にしたベスト盤。ペリーのベスト盤というのは山ほど出ていて、その長いキャリアと音楽的変遷ゆえどの編集盤もそれぞれ違った持ちあじがあるのですが、この編集盤は「王道」って感じですね。タイトルがはったり臭いですが、とても丁寧に選曲されているし、ジャケ/ブックレットもきちんとしている。アルバムはまずリー・ペリー翁自身がマイクをとるtr1「Enter The Dragon」(Lee Perry & The Upsetters)で幕を開けます。いやーもう、天下無敵の脱力ワールド。曲名どおり、ブルース・リーをテーマにした曲で、いつもの軽目のダブミックスがほどこされた足どり軽いファンキーな演奏に、ペリー翁の奇声が無節操に乗るだけの曲。でもサウンドはカッコいいす。不明な楽器のチャカポコした音も健在。で、このままのクレイジー・ノリで行くかと思いきや、そこはぐっと抑えて、定番tr2「War Ina Babylon」(Max Romeo)、若きボブ・マーリーのtr3「Small Axe」、ファルセット・ボーカルがスウィートでループするビートが麻薬的な長尺曲tr3「Roots Train」と、まっとうに音楽的な曲が続きます。その意味、このアルバムはリー・ペリーの狂気的なところは控え目なんだけど、でも手堅い分、曲の良さが際だちます。もう、マジで全曲良い。サザン・ソウルっぽいtr6「To Be A Lover (Have Some Mercy)」(George Faith)も泣けるねー。リー・ペリーって長調の曲が多いから、短調があまり得意でないぼくは嬉しいんだよねー。しかしそれにしてもまだThe Wailersの一員にすぎなかったボブ・マーリーの初期の二曲ですが、もう明らかにオーラが出てますね。マーリーが歌うと、何げないメロディーがほんとうに切なく響きます。そういや、よく考えたらボブ・マーリーのアルバムって一枚も持ってないな、オレ、火暴。 (10/8/04)