Visions ★★★★

Drum N Bass Visions

John B / Visions

::★★★★::1997::New Identity::club::d&b::
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当時学生DJだったオタクDJ、ジョンBの2枚組デビュー作。「Organic」サイドと「Synthetic」サイドにわかれていて、前者は生楽器を多用したジャズっぽいアプローチのドラムンベース、後者は普通のドラムンベースのミックスCDとなっています。

おもしろいのはやはり前者の「Organic」サイドで、いわゆるジャズステップではなく、生演奏で曲を演奏をして、それをサンプリングして再構成したり、打ちこみに即興演奏を乗せたりするというある意味泥臭いアプローチ。70年代末〜80年代初頭のプレ・テクノ的アンダーグラウンド・ディスコな雰囲気もあり。有名な演奏家が参加しているわけでもないので、演奏はしょぼいというかチープなんだけど、そのチープさが個性となりユーモア精神につながっていて、なんというか、ドラムンベースのジャズ的アプローチというとスカしていたりシリアスだったりする物が多いんだけど、そのなかで異色の個性となっていると思う。サウンド的なエッジや斬新さというのはあまりなくて、最初聴いたときつまらん!と思ったんだけど、2003年の今、改めて聴くと、この「Organic」サイドの軽妙でユーモラスなグルーヴは異色で良いな、と。おもしろい。後半はわりにふつうのジャズステップだけど。

「Synthetic」サイドは、自作曲をDJミックスしたもの(しかもCDJらしい)。今聴くと、まぁ、ふつうのテックステップ、アンビエント風味かな、という感じ。時折冴える瞬間もあり(イントロの安っぽいSFみたいなシンセとか)、悪くない。 (9/9/04)