What's That Noise? ★★★

WHAT’S THAT NOISE?

Coldcut / What's That Noise?

::★★★::1989::Tommy Boy::club::abstract hip hop::house::
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NinjaTunesの総元締め、ジョナサン・モア&マット・ブラックことコールドカットのデビューアルバム。DJによるフル・アルバムとしては、ボム・ザ・ベース(ティム・シムノン)の「Into The Dragon」(1988)、ビーツ・インターナショナル(ノーマン・クック)の「Let Them Eat Bingo」、ロイヤル・ハウス(トッド・テリー)の「Can You Party?」(1989)などとともに最初期のものにあたります。ただ、個人的にはこのコールドカットのアルバムはあまり好きではないんですよね。この時代のコールドカットは、Yazやリサ・スタンスフィールドをフィーチャーしたディスコ・ハウスの曲を当てていて、のちに比べるとヒップホプ色があまり濃くない。たとえばこのアルバムの冒頭tr1「People Hold On」(フィーチャリング・リサ・スタンスフィールド。スタンスフィールドの出世作となった)は100%ガラージ・ハウス。この曲は名曲だけど、本格的ハウスの曲はアルバム通じてこれだけというのはなんとなく中途半端。他、tr3「I'm In Deep」やtr8「No Connection」はアシッド・ハウスっぽい感じの曲だけど、曲としてはなんとなく中途半端。他のインストナンバーも同様。もっとヒップホップぽくても良かったのにな。ヒットした、ジュニア・リードをボーカルに据えたtr7「Stop This Crazy Thing」は、ディキシーランド・ジャズっぽいホーン(ブラスシンセ?)の賑やかな雰囲気が楽しい。けど、こういう路線はビーツ・インタナショナルの方がうまいよな。アブストラクトヒップホップ系ではなんといっても、エリックB&ラキームの「Paid In Full」を解体再構築したtr10「Not Paid Enough」が有名ですね。この曲は、中東の歌姫オフラ・ハザの「イム・ニン・アル」を大胆にサンプリングしたのが当時新鮮でした。他のめぼしい曲としては、そうですね、tr5「Theme From "Reportage"」が「ガキの使いやあらへんで」のオープニング・テーマだということですかね。ちなみに前述したtr7「Stop This Crazy Thing」のイントロも「ガキ」のジングルとして使われています。全体的にはちょっとパンチ不足かなぁ。という感じで。歴史的には重要な作品ですが。 (8/30/04)