Sumo Jungle Grandeur ★★★★★

寺田創一 / Sumo Jungle Grandeur

::★★★★★::1996::Far East Recording::club::d&b::techno::
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日本のクラブ音楽クリエイターの草分けである寺田創一は、こと自分の作品になると思いっきり趣味に走ることでも有名であります。「君が代」のハウス・バージョン、般若心経のハウス・バージョン、横井さんの言葉をモチーフにした曲やら逃亡中の実在の殺人指名手配ホステスの合成音声をサンプリングした「殺人の時効は15年」やら。で、そんな寺田の頂点であるとぼくが勝手に思っているのがこの「スモー・ジャングル」。相撲をモチーフにしたジャングル/ドラムンベースで、ドラムンベースのリズムを和太鼓に見たてた大和魂な世界が繰り広げられています。でも寺田が良いのは、土台のセンスが非常に都会的で洗練されているというところですね。キワっぽさがゲテモノにならずにうまく洒落た音世界に昇華している。tr2「Yokozuna Beach Chillin'」のアンビエントさ、tr4「Dosukoi Wrestler Pumpin'」の「ドスコイ」の連発と寺田的な独特のシンセの組み合わせの大胆さなどなど、とてもかっこいい。ハイライトはもちろん、このアルバムの中心的モチーフとなるtr7「Sumo Jungle」。優しいウクレレの響きに乗る、ハワイの巨漢シンガー、イスラエルの「アッケボノ〜、ムサシマ〜ル〜、アンド、コニ〜シキ〜」という甘い声のサンプリングにとても和まされます。曲アレンジや音自体も非常に独特かつ洗練されていて、最高です。ちなみにイスラエルは数年前に亡くなったようです。合掌。ちなみにtr10「Mawashi Watashi vs. Spasm」はブラジルのトリオ・エスペランサが1993年に録音したサンディー作詩作曲の「Watashi」(サンディー自身のバージョンは1996年に発表)をサンプリングした曲。 (12/16/03)