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Tortoise / Standards

::★★★★::2001::Thrill Jockey::pop::rock::lounge::
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ジョン・マッケンタイヤー率いる、シカゴ・ポストロック・シーンの雄、トータスの四作目。一作目、二作目と基本的に同じ路線を進み、三作目「TNT」ではエレクトロニカを少し取り入れ、ダークになってちょっと閉塞感も感じさせた(ぼくはこの三作目が一番好きだけれど)ので、次の展開はどうなるんだろうと思っていたんですが、このアルバムはけっこう芸風が変わったので、新鮮な驚きを感じました。トータスといえば、だら〜んとぬるま湯のようなインストが中心だったわけですが、このアルバムは冒頭tr1「Seneca」がいきなりギターとそして特にパーカッションの土砂降りのようなウォール・オブ・ノイズで幕を開けるのでそれだけでちょっとびっくり。この曲は途中で、どこかエキゾチックでノスタルジックなメロディの曲へと転換していくのですが、リズムがいつになくタイトなのがトータスらしくないというか。tr2「Eros」あたりも、いつになくアッパー、かつメカニカルな雰囲気。全体的にビートが強調されているアルバムであります。とはいえ、基本的にはいつものトータス節。ノスタルジックなギターや木琴のメロディを核にしたなごみの世界が展開されています。おもしろいのは、いつになくビートがガチャガチャしているせいで、初期マザーズ・オブ・インヴェンション的なサウンドになっていること。tr3「Benway」の変拍子やtr8「Blackjack」の冒頭なんて、「Burnt Weeny Sandwich」(1970)の「Little House I Used To Live In」あたりに近い世界。おもろい作品であります。欠点は、いつもよりビートの輪郭がはっきりしている分、飽きがきやすいということかな。いつものトータスなら何回聴いてもぼや〜っとしてるから飽きることはないんだけどね。 (10/30/03)