Sons Of Soul ★★★★★

Sons of Soul

Tony! Toni! Tone! / Sons Of Soul

::★★★★★::1993::Mercury::soul::r&b::
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トニーズが90年代の最も知的で優れたファンク/ソウル/ポップ・グループの一つであったことは誰も否定しないでしょうが、その音楽の独特の位置付け、エキセントリックさゆえか、はたまたあまりにクレバーすぎるからか、あまり熱狂的に語られることのないグループです。寡作なのも関係するのかな(88年のデビュー作から96年の今のところラストアルバムまで4枚のみ)。そんなトニーズの3作目にして最高傑作がこのアルバム。次作の「House Of Music」ではレトロ・ソウル趣味を強くうちだす彼らですが、このアルバムでもその萌芽が見られます。60年代ノーザンソウルとサザンソウルを合わせたかのようなヒット曲tr1「If I Had No Loot」もそうですが、このアルバムのベストトラックである(とぼくは思う)tr5「Leavin'」は初期テンプテーションズのようなボーカル・グループ然としたナンバーで、郷愁をさそう甘酸っぱいメロディが胸キュン(死語)ものです。tr3「My Ex-Girlfriend」やtr4「Tell Me Mama」あたりも、ニュージャック以降の流れを踏襲しつつもコーラスワークに「ソウル」へのこだわりが見えるんですよね。で、それが非常にうまくはまっている。古さと新しさのバランスが非常に良いんですよね。そのあたり彼らのクレバーなところです。とにかくtr1からtr5までのアップテンポナンバー5連発は強力。もう最高にポップで、かつ懐が深い。以降も捨て曲らしき曲はなく、次作でより深く追及することになるスローナンバーもtr6「Slow Wine」、tr7「Lay Your Head On My Pillow」、大作バラードtr18「Anniversary」など見逃せない曲ばかり。また、tr8「I Couldn't Keep It To Myself」、tr10「Tonies! In The Wrong Key」やtr13「Fun」はスライ&ザ・ファミリー・ストーンとアシッド・ジャズを合わせたようなジャズ・ファンクで、このあたりも楽しめます。とにかく素晴しいポップ・アルバム。 (10/16/03)