Second Edition (Metal Box) ★★★★★

Second Edition

Public Image Ltd. / Second Edition (Metal Box)

::★★★★★::1979::Warner::pop::rock::avant-garde::
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ジョン・ライドン(vo)、キース・レヴィン(g)、ジャー・ウォブル(b)、ジム・ウォーカー(dr)によるPILのセカンド・アルバムにして最高傑作の名高い作品。ぼくはかつてはこのアルバムより次の「The Flowers Of Romance」(1981)こそ最高!と主張してはばかりませんでした。というのも、このアルバムはわりに音が薄っぺらいんですよね。その上、演奏も決してうまいとはいえない。でも、近年は音の薄っぺらいことに価値を見いだしつつあるワタクシでありますので、このアルバムの評価も上っている次第です。トレブルの強いファズギターで独特のフレーズをくりだすキース・レヴィンがやはりこのアルバムの音の肝でしょうか。ジャー・ウォブルのベースは後年にくらべるとずいぶんヘタですが、このヨタリぐあいと、ポスト・パンク的感性とレゲエ/ダブからの影響(なんていっても「ジャー」と名乗る人ですからね)を兼ねそなえたフレージングが良いです。ああ、このころのPILは本当に志が高かったことよ。ロックというものの基盤に鋭い批判を投げかけていたことよ。ロックに唾しつつも音楽的にはひたすらロケンロールだったセックス・ピストルズとは違い、ちゃんと身をもって解体することとはどういうことなのか、示してくれています。個人的なベストトラックはなんといってもtr4「Pop Tones」。8分近く一度も展開しない。ギターはメロウだけどどこか狂っている。ウォブルの独創的なベースが地を這う。そしてアジテーションするというより詩を朗読するようなライドンのボーカルが効果的。このアルバム、ギターやベースの素晴しさばかりが注目されるけど、シンセもところどころフィーチャーされているんだよね。「Pop Tones」にも最後でシンセがちょこっと鳴るし、tr5「Careering」やtr6「Socialist」でも、非メロディックなシンセが鳴り続けていて、このあたりの音の選びかたも秀逸。シンセがフィーチャーされたラスト「Radio 4」のメロウさも素晴しい。 (9/5/03)