Rubbish Stories Happened ★★★★

The Willard / Rubbish Stories Happened

::★★★★::1997::Toshiba EMI::pop::rock::jp::
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ウィラードを「懐しい!」というのはもはやオサーンかオバハーンだけなのかも‥ううっ。とにかく、80年代半ば、日本に「インディーズ・ロック」というものが存在したころ(カッコつきの「インディーズ・ロック」ね)‥分かりやすい例では筋肉少女帯がまさに典型的な存在だったわけですが、その中でもキャプテン・レコードの筆頭として君臨したウィラードは実に80年代ジャパニーズ・インディーズ的な存在でありました(といっても当時のシーンは言うまでもなく多様で多面的ではありましたが)。白塗りに海賊ルックで「君は今から鳥になり/人に追われて来らすのさ」などとどこかシアトリカルで大仰な歌詞を歌いあげたJun引きいるウィラードは、なんというか、あくまで自分らの美学を追及する存在でありました。例え歌詞に中身がないと言われようと、例え音程がはずれていると言われようと、例え曲がダムドやジャムやチープ・トリックのパクリだと言われようと、あくまで「ウィラードの美学」にとことんこだわったスガスガしい存在でありました。というわけで、ウィラードの魅力といえばなんといってもJunのボーカル。音程はちょっと怪しいけれども、声の良さ(沢田研二をもっと骨太にした感じ)とカリスマ性は圧倒的でありました。裸の王様でもかまわない。Junはモニタースピーカーに足をかけて「はっはっはっはっ」と高笑いをあげていればそれでサマになるシンガーなのです。このアルバムはメジャーデビュー後のウィラードのベスト盤で、ベスト盤としては「Gone With The Wind」には劣るけれども、それでも「Lightning Scarlet」「Trickster」「But Sun Is Too Bright」「Fairy Tale」「Silly Game」「Smart Escape Forever」といった、ウィラードらしい、転調しまくりの名曲がめじろおし。ほとんどラウンジ・シンガーの世界まで行ってしまった「Rose Or Lose」もJunらしいといえばいえます。ボーカルのJunのことばかり語りましたが、バンドの演奏も非常にタイトで良いということを強調しておきましょう。特にエッジが立っているギターは個性的かつチンピラっぽくて素晴しい。 (8/15/03)