Ray Of Light ★★★★★

Ray of Light

Madonna / Ray Of Light

::★★★★★::1998::Maverick::pop::rock::club::
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アーティスティックな方向性を強めてからのマドンナの諸作では今のところこれが一番好き。いや、ほんと良いアルバムですよ。プロデュースはウィリアム・オービットで、このひとはエレクトロニカのクリエイターとしては中庸でどちらかと言えば時代遅れな人だと認識しているんですが、彼とマドンナの組み合わせはこのアルバムでは非常に成功しています。そう、マドンナには必ずしも最先端のトンがったクリエイターと組む必要はないんだな、なぜならマドンナ自身の存在が特異なんだから。このアルバムのマドンナはなんというか宗教的で、どの曲も祈るように丁寧に謌っています。彼女はシンガーとしてそれほど優れた資質を持っているわけではないと思うのだけど(声が特別素晴しいわけでもないし歌唱テクニックに特別目を見張るものがあるわけでもない)、しかし彼女はひたすら努力し続けた。そしてここで一つのスタイルを確立したのです。静かな冒頭のtr1「Drowned World/Substitute For Love」、テクノ・ビートにシャーマン的ボーカルが乗るtr3「Ray Of Light」、ポップなのにどこかヘヴィーで凄みのある「Candy Perfume Girl」、文字通り宗教歌的なtr8「Shanty/Ashtangi」を経て、後半はヒーリング系の静かな曲が続き、祈るようなtr10「The Power Of Good-Bye」、子供に捧げた(たぶん)tr12「Little Star」、死のイメエジのあるラストのt13「Mer Girl」まで、いずれも素晴しい歌と曲です。 (7/22/03)