Pieces Of A Man ★★★

Pieces of a Man

Gil Scott-Heron / Pieces Of A Man

::★★★::1971::Flying Dutchman::jazz::pop::rock::soul::
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ストリート詩人であり、ヒップホップやアシッド・ジャズにも大きな影響をあたえたことで知られるギル・スコットヘロンの代表作(二作目)。カテゴライズするのが難しい内容で、バーナード・パーディー(dr)やロン・カーター(b)が全面的に参加しているということでジャズに分けられることも多いこのアルバムですが、AMGが「Rock」にカテゴライズしているとおり、やはりジャズというよりは、ロック/ポップス寄りの内容と言えると思います。一曲目の「The Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビ化されない)」がなんといっても有名。ベースとドラム(+フルート)だけの非常にシンプルな伴奏に、スコットヘロンの畳みかけるようなアジテーションが続くこの曲は、ヒップホップの源流の一つと言われています。確かに、パブリック・エネミーあたりの源流がここにはっきり見られます、スピリットの面において。ちなみに、DJヴァディーム・フィーチャリング・サラ・ジョーンズの「Your Revolution」(名曲! 「Life From The Other Side」(1999)収録)は、この曲に直接影響を受けた曲としては最高のものじゃないかと、ぼくは思います。

一方で、このアルバムは他の曲はメロウな曲ばかりなんですよね。アップテンポ系ではtr3「Lady Day and John Coltrane」とtr5「When You Are Who You Are」が、疾走感あふれるアシッドジャズ系の元祖ともいえる曲。また、多くの人にカバーされた「Save The Children」(マーヴィン・ゲイの同名曲とは違う曲)や、tr6「I Think I'll Call It Morning」、tr6「Pieces Of A Man」といった朋友ブラアン・ジャクソン(p)の伴奏が中心のスローナンバーも多く入ってます。ボーカリストとしては、声域がせまく、少々一本調子ですが(大体もともと詩人ですし)、声の良さと独特の節まわしで聴かせてしまいます。

あまり朴訥すぎて個人的には、大好きなアルバムというわけではないのですが、生の感覚があふれる好盤‥って一般的には名盤。 (7/1/03)