Plantation Lullabies ★★★★

Plantation Lullabies

Me'Shell Ndegeocello / Plantation Lullabies

::★★★★::1993::Maverick::pop::r&b::funk::
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ミシェル・ンデゲオチェロがデビューしたとき、心地良い衝撃を受けたのを覚えてます。最初に耳にしたのはシングル・カットされた「Dred Loc」でした。メロウなミディアム・テンポのファンクナンバーで、けだるいボーカルと、ジャジーなピアノの響きが印象的でしたが、同時にベースラインの独創性にひかれたものです。で、このアルバムを聴いたのですが、やはりベースに衝撃を受けましたね。もしかしたらブーツィー・コリンズ以来のファンクの天才ベーシストなんじゃないかと。序曲に続くtr2「I'm Diggin' You (Like an Old Soul Record)」のベースを聴いたときそう思いました。このひとの独創的なところは、ベースといえばヘヴィなのが良いとされるのに、この人の場合、音が中高音域を強調したものなんですよ。だから、ウーファーをうならせるタイプのベースではない。また、フレーズもシンプル。それでいて恐しく深い表情とファンクネスがある。もちろんテクニックもあるんだけど、技術よりニュアンスで聴かせることに徹底しているのがすごい。そして、マルチプレイヤー。ベースの他、ボーカル、ギター、ピアノなどをほとんど全部自分でこなしている(プロデュースとプログラミングはデイヴィッド・ギャムソン)。一人でこなしているがゆえの、限界が見えるのがこのアルバムの欠点で、特に後半はちょっとパターンが同じで飽きるのですが、前半はほんとうに素晴しく、衝撃のデビューと言えるでしょう。良質なジャズ・ファンク・アルバムにして、過激作。 (7/1/03)