Pacifica ★★★★

Sandii / Pacifica

::★★★★::1992::Eastworld::pop::rock::jp::
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サンセッツ後のソロアルバム2作目(通算ソロ3作目)で、この作品をもってしてサンディーの最高傑作と言うひとも少なくありません。前作「Mercy」のインドネシア、マレーシア、シンガポール、日本といったアジア路線を拡大し、ぐぐっと太平洋まで懐を広げ、ハワイ&タヒチを含み、一方では東欧も視野に入れた意欲作。そしてサウンドの方は前作同様、クラブ音楽的。ただ、個人的には前作ほど好きでないんですよね。今回は少々考えすぎているような気もします。結果、サウンドが少々重くなってしまった。前作の能天気なまでの軽みがないんですよね。また、クラブサウンドとしても前作ほどのキレがない気がします。しかし逆に音楽的には、このアルバムの方が前作よりバラエティーに富んでおり、わりに一本調子にポップだった前作と比べ、成熟を感じることができ、このあたりは好きずきかもしれません。このアルバムのベストトラックはなんといっても2曲目の「Aloha Mai - Iaorana - Pacifica」の組曲。軽快でスピーディーでファンキーなグラウンド・ビートの上にタヒチ民謡をのせ(イントロはハワイ民謡)、サビ部分を70年代ムード歌謡のようなディック・リー曲「Pacifica」で締めた大胆な一品。で、少しもキワモノっぽくない、本当にカッコいい曲に仕上がっているのがすごい。ウクレレも鳴っているんですよ! それでいて違和感ゼロなんですよ! たたみかけるコーラスは太平洋のゴスペル? プロデューサーの久保田麻琴に脱帽するしかない一曲です。ラストから2曲目の「Sayonara」も素晴しいの一言。 (6/29/03)