Of Queues And Cures ★★★★

Of Queues & Cures

National Health / Of Queues And Cures

::★★★★::1978::Charly::pop::rock::
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ビル・ブラフォードのソロ活動の右腕的存在だったことでも知られるデイヴ・スチュワートユーリズミックスじゃないよ)率いるカンタベリー系プログレ・ジャズ・ロック・バンドの2作目にして実質的ラスト・アルバム(80年代に再結成アルバムがあるけど、内容も今いちだったし、なかったことに‥)。おりしもパンク台頭の時期であり、バンドをとりまく状況は本当に最悪だったようで、金も全然なかったみたいだけど、それでもこのアルバムはデビュー作の延長線上ながらも確実に進歩していて好アルバムです。まず音が良いですね。前作のショボい音もあれはあれで味でしたが、今回はもっとダイナミックな音で、ドラムの音も気持ち良く鳴ってます。てゆうか、このバンドは元々ドラムをビル・ブラフォードに頼んでいて、バンドが軌道にのらないのでブラフォードが去ってしまい、結局朋友のピップ・パイル(ハットフィールド&ザ・ノース)に決まったという経緯があるわけですが、ブラフォードがドラムじゃなくて良かったんじゃないかという気がします。というのも、この音楽性でブラフォードだと、あまりにブラフォードのソロ作品に似すぎる気がする‥。良くも悪くもブラフォードのドラムはあまりに個性的ですからねぇ。ピップ・パイルの、でしゃばりすぎず、わりに基本に忠実なドラムは誰が突出するわけでもないナショナル・ヘルスの基本コンセプトに良く合っているように思います。で、このアルバムでのピップ・パイルはとても良い演奏をしていますね。

さて、音、演奏が良くなったということですが、曲も良くなってます。前作のハイライト「Tenemos Roads」系の「The Bryden 2 Step (For Amphibians)」はよりポップでとっつきやすいし(腐れフュージョン一歩手前ですが)、カリプソ風味をとりいれた「The Collapso」は個人的にはキテレツであまり好きじゃありませんが、地味ながら「Squarer For Maud」「Dreams Wide Awake」「Binoculars」といった曲の即興中心の演奏は聴きごたえがありますし、特に「Binoculars」はナショナル・ヘルスの曲でももっともジャジーでファンキーな曲だと言えるかもしれません。ただ、ヘタクソなボーカルはちょっとやめて欲しかったですけど。このバンドはギターがかけらもジャズっぽくないので、全体としてはやっぱりジャズロックというよりプログレなんですが、典型的な(?)プログレに比べるとコンセプトよりも演奏重視なので、プログレファンでないぼくでもインストアルバムとして楽しめます。好盤。ジャケは最悪だけど。 (6/12/03)