On The Corner ★★★★★

On the Corner

Miles Davis / On The Corner

::★★★★★::1972::Columbia::jazz::
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異端ジャズの権化のようなエレクトリック・マイルズ時代の作品の中でもとりわけ異彩を放っているのがこのアルバム。エレクトリック・マイルズ時代の作品って、内省的で観念的な作風のものが多いんだけど、このアルバムはその意味、非常に肉体的、かつグルーヴィー! 全編、ふがふがふがふがとファンクビートが垂れ流され、その上をジョン・マクラフリンディストーション・ギターやマイルズのワウのかかったトランペットや、チック・コリアハービー・ハンコックのエレピやらムーグやら、シタールやらタブラやら、もうほとんどカオス状態。いや、カオス状態なのはエレクトリック・マイルズの作品には珍しくないことなんですが、このアルバムの場合、めくるめくカオスの背後にずーーーっと絶え間なくファンキービートが蒸気をあげて鳴り続けているのが特徴というか。ジャケやタイトルにある通り、「ストリートの雑然とした活気」を体現したアルバムなわけですね。で、このファンキービートも、延々同じフレーズのループであり、かつどこかギクシャクとした、故障したオンボロ機械のような味わいがあるのがまたおもしろいところ。最高にイカす異能ファンク・ジャズ。傑作! (6/12/03)