Nuyorican Soul ★★★

Nuyorican Soul

Nuyorican Soul / Nuyorican Soul

::★★★::1997::Talkin' Loud::club::jazz::house::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

NYハウスの名実ともにナンバーワンDJ/リミキサー/プロデューサーチームのマスターズ・アット・ワーク(ケニー・ドープ・ゴンザーレスとリトル・ルイ・ヴェガ)の変名プロジェクト。「ニューヨリカン」というのは、NYに住むプエルト・リカンということで、このプロジェクト名はラテン系の彼らのルーツを宣言していると言えるかもしれません。もともとは90年代中頃に、マスターズ・アット・ワークの数多い変名プロジェクトのひとつとしてナーバス・レコーズあたりからシングルを出していて、そのころはジャジーかつアフターアワーズっぽいクラブサウンドを特徴にしていたものの、わりにふつうのハウスの延長上だったと思うのですが、じっくりとアルバムを練った結果、非常にラテンジャズ色の強いアルバムとなりました。

ティト・プエンテやエディ・パルミエリあたりが活躍している他、非ラテン系ではジョージ・ベンソン、ロイ・エイヤーズなどをフィーチャーした曲があり、ボーカルではおなじみのインディア(ルイ・ヴェガの嫁さんでサルサ・シンガーであり、ヴェガのプロジェクトで数多くのハウスヒットも持つ)やジョスリン・ブラウン(70年代からサルソウル系ディーヴァとしてNYハウスシーンでリスペクトされる人物)が参加するというオールスターキャスト。それでいて、常にマスターズ・アット・ワークがちゃんと主導権をコントロールしているのが見事ですね。だから、全体的には、マスターズ・アット・ワークが場を提供するジャムセッションという趣きがあります。

もっとも、あまりにスムースな流れのアルバムなので、個人的にはなんか物足りないなあと思ったりもするんですよね‥。各プレイヤーのソロは長いわりに飽きはしないんだけど、これといった山場もないし。シングルカットされたジョージ・ベンソンの「You Can Do It (Baby)」とか、最初聴いたとき、「うわ、なんちゅう退屈な曲や」と思ったりしました。ヒットしたインディアの「Runaway」も、ロリータ・ハラウェイの原曲とどれほどの違いがあるのかと思わないでもないし‥。一方、ロイ・エイヤーズの粘っこいジャズ・ソウル感覚は良いですね。「スウィート・ティアーズ」最高! 全体にやっぱりちょっと薄味なラテンジャズばりばりの曲よりも本職のクラブ色の強い曲の方が良いように思います。名盤なのだろうと思うけど、個人的には、まあまあかな、と。 (6/9/03)

[追記1/2/2006]iTS USバージョンは9ドル99、iTS JPバージョンは2400円ですが、iTS JPバージョンはボーナス5曲付き。