Neither Fish Nor Flesh ★★★★★

Neither Fish Nor Flesh

Terence Trent D'Arby / Neither Fish Nor Flesh

::★★★★★::1989::Columbia::pop::rock::r&b::
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華美で空虚なスター性と反逆する異端性が奇妙に同居するTTDのセカンドアルバム。てゆうか、TTDの場合、スター性がスター性としてうまく機能したのはデビューアルバムのみで、で、そのデビュー作があまりに商業的に成功してしまったために、セカンドアルバムの後はずっと異端さが暴走している気もする。そして、二度とデビュー作の成功を再現できないでいるんだな。その、「異端路線」を決定づけることになったこの2作目、賛否両論ありますが、ぼくはこのアルバムは本当に素晴しい作品だと思う。あまりに内省的、実験的、あるいは自己陶酔的にすぎるという評価もありますが、しかしやっぱりスゴいアルバムですよ、これは。サイケデリックなギターのフィードバックノイズをバックに宣言される「外界に対し、私は定義されない、なぜなら私は魚でも肉でもないからだ」いう冒頭一曲目の言葉に続いて、tr2「I Have Faith In These Desolate Times」では竪琴をバックにソロのア・カペラ、続いてパーカッションと非メロディックなギターのリズムをバックに歌われる。続くtr3「It Feels So Good To Love Someone Like You」では、ストリングスと波の音をバックに歌われる。ということで冒頭4曲目まで「非ポップス」的な4曲で押して独自の美学で圧倒します。続く「To Know Someone Deeply Is To Know Someone Softly」はスウィートな60sソウル、続く「I'll Be Alright」でようやくワイルドなTTDを聴くことができます。このあたりはサム・クック丸出し。これ以降も非常にレトロスペクティブなゴスペル魂あふれたサム・クック系ソウルが続きます。その意味、現代的な意味でのポップさに欠けるアルバムであるけれど、それがどうした! という感じです。あでも、「Billy Don't Fall」や「Attracted To You」はとてもポップで親しみやすいです。それでもアルバムをヒットに導くことはできなかったんですよね。ところで、去年TTDが独立系レーベルからアルバムだしたらしく良い出来らしいので聴いてみたいところです。 (6/5/03)