The Stone Roses ★★★★

Stone Roses

The Stone Roses / The Stone Roses

::★★★★::1989::Silvertone::pop::rock::
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文字通りイギリスを席巻したマンチェスターブーム、そしてその最高峰として君臨したストーン・ローゼズ。当時はこのアルバム聴いて、「そんなに良いかなぁ‥」と首をかしげたものですが、夏に山荘に行ったときに友人のダンがこのアルバムをかけて、あまりに懐しいのでCDを買いなおしてしまった。夏に山荘で聴いた「I Wanna Be Adored」は確かに独特なオーラがたちこめていて、そのときは「ああ、やっぱりストーン・ローゼズってカリスマ的な雰囲気があるバンドだったんだな」と再評価したりしたんですが、いざCDを買って聴きなおしてみると‥あれ? やっぱ大したことないかも‥とリアルタイムで聴いたときの評価に逆もどり。

このアルバムと、その数年前に全英を席巻したザ・スミスの諸アルバムを比べると、あまりにレベルが違いすぎる。ぼくはリアルタイムではスミスに対しても「けっ」と思ってたけど(すんません、素直じゃなくて)、今聴きかえすとスミスは本当にオリジナリティーあふれ、魅力的なギタリストと個性的なボーカリストを擁した一流のバンドだったし、彼らの残した曲の数々は、今聴くと多少時代がかって聴こえるものの、どれも強烈な輝きを持ち続けている。やはり真に革命的、かつ天才的なバンドだったと思わざるをえない。それに対し、ストーン・ローゼズは、ボーカルも平凡、ギターも平凡、曲も60年代リバイバル丸出し。

もちろん、80年代末の味付け、特にビートが力強いところなど、新しい要素も付加されてるけど、全体的にはあまりに60年代サイケデリアそのまんま。それは「Waterfall」のような曲に特に強くみられ、続く、「Waterfall」の逆まわしの「Don't Stop」なんて、あまりに陳腐で自己満足にしか聴こえない。サイモン&ガーファンクルの「スカボロフェア」丸出しの「Elizabeth My Dear」はジョークのつもりんなんだろうけど、笑えねえよ!

加えて、イアン・ブラウンの脱力ボーカルは、無個性なところが味だと思うんだけど、なんというか、やっぱ弱い。ギターもしかり。「Elephant Stone」、「Bye Bye Bad Man」のような畳みかけるリズムの曲、および「I Wanna Be Adored」「This Is The One」「I Am The Resurrection」のような過剰に甘ったるくナルシスティックな曲が良いんだけど、アルバム全体としては、わりに凡庸。ストーン・ローゼズ自体、2作目を出すのに5年もかかったあげく空中分解してしまったわけだけど、それもこのアルバムが過大評価されていたことを象徴していると思う。

とかなんとか散々文句つけつつも、けっこう聴くアルバムのあので四つ★。←なんじゃそら! いや、文句言っても聴くものは聴くんです。 (5/26/03)