Montrose ★★★★★

Montrose

Montrose / Montrose

::★★★★★::1973::Warner::pop::rock::
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70年代や80年代のハードロックやヘヴィー・メタルと呼ばれる音楽は、現在の耳で聴いて未だ新鮮なものと陳腐化しているものの二種類が存在します。音楽的にコケおどし的要素や、叙情的要素が強ければ強いほど陳腐化し、シンプルなものほど新鮮さを保ちます。で、モントローズの4枚目「Jump On It」なんかは陳腐化した例であり、そしてこのデビュー作は新鮮なまま残っている作品であります。このデビュー作はとにかくシンプル。ハード・ドライヴィンなギター、確かなドラムとベース、シャウトするボーカル、そしてハードブギーでロケンロールな楽曲。ギミックはなし。バラードも一切なし。直球一直線の、ステーキに塩こしょうをかけて焼いただけのようなアルバムです。それでもって文句なしにカッコいい。

一曲目の「Rock The Nation」(バカみたいなタイトル!)からして、たとえばレニー・クラヴィッツがやりそうなハードロックなんだよね。音を塗りこめず(実際、ギターは間奏を除いて、左チャンネル寄りに一本しか聴こえない)、それでいてハード。名曲でっす。続く、ファズギターでバイクの音を模した「Bad Motor Scooter」、次のSFハードロック「Space Station No.5」と、バカみたいな発想の曲が続き、いずれもナイス! 他の曲も良く、捨て曲一切なし。ちなみにボーカルはサミー・ヘイガー。このころのヘイガーは声はまぎれもない後のヘイガーなんだけど、唱法が相当ロバート・プラントを意識していて(特に「Space Station No.5」)、そのあたりもおもしろい。ま、曲自体も、リフや微妙にファンキーな感じはツェッペリン的と言えるんだけど。ただ、ツェッペリンの頭でっかちなところが一切なく、ひたすら悩みがなさそうなバカ・ハードロックなのがポイント高し。 (5/23/03)