M!ssundaztood ★★★★

Missundaztood

P!nk / M!ssundaztood

::★★★★::2001::Arista::pop::rock::
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Pinkというのはおもしろいシンガーです。ルックス見たときは、「なんで今時髪の毛ピンク? なんで今時パンク?」と思い、このアルバム(二作目)の最初のヒット曲「Get The Party Started」をMTVで見たときも、なんか、一発屋っぽいキワモノ系ディスコ・シンガーかと思った。だって曲名がなんの工夫もない「Get The Party Started」で、本人がピンク色の髪にレザーの帽子とかかぶってるし‥。でも、このアルバムを聴いて、なぜPinkがブレイクしたかが分かった気がします。ひとことでは言いあらわすのは難しいんだけど、チンチクリンなルックスとは裏腹に‥いや、ある意味、あのパンクファッションのイメエジどおりと言ったほうが良いのか、とにかく、「ツッパってるけど、中身は純粋」なんだよね。もう、久々に聴いた気がする、こんな真っ直ぐに青春しているアルバムって。

ヒットした「Don't Let Me Get Me」には、「ブリトニー・スピアーズと比較されるのはもううんざり/ブリトニーはとてもカワイイけど/あたしはああいうタイプじゃないのよ」なんて歌詞がでてくるからびっくり。もうメチャ素直。他にも、離婚した両親のことを歌った歌とか、「みんなあれこれ口だしするけどアタシはアタシにしかなれないのよ!」型の思春期悩みソングとか、一方では前述した「Get The Party Started」みたいなアーパー・パーティー・ソングまで、とにかく、等身大のティーネイジャーなんだな。Nシンクやブリトニーのような、ショービズショービズしたティーン・アイドルとは対極にある。

で、Pinkはかくも青臭いんだけど、しかしそれがちっとも厭味じゃないのがPinkの強みなんですよね。パンクファッションも「ああ、強がってるのかな」とか勝手に思ってしまえるように。わざわざソバカス・メークして三枚目ぶっているのを見ると「いやいや、でもホントはカワイイんだよね」って勝手に擁護したくなるような、そういうシンガーなんだな、Pinkって。もって生まれた力としか言いようがないですね。で、シンガーとしてもとても魅力的で、すごくうまいわけではないんだけど、声も良いし、存在感もあるし、良い歌を歌う。カリスマ性もある。3曲目の「Just Like A Pill」のサビとか、すごいバカっぽいスタジアム・アンセムっぽい雰囲気なんだけど、Pinkが歌うとコンサートで観客と一体になってコブシをふりあげる様がはっきり目に浮ぶのよね。

プロデュースはダラス・オースティンと、Pinkのアイドルだったという4ノン・ブロンズリンダ・ペリー。いやはや、リンダ・ペリーという人選が実にPinkらしい。男勝りで、真っ直ぐで。Pinkはリンダ・ペリーの妹みたいなもんだね。4ノン・ブロンズは「What's Up」のヒットだけで消えてしまったけど、Pinkが遺産を受けついでるよ。しかしリンダ・ペリーの曲の方がダンサブルで、ダラス・オースティンの曲の方がロックなのはどういうことだ。他、ゲストとしてスティーブン・タイラーとのデュエットがあるんだけど、タイラーと完璧に対等に渡りあえているのがまたすごいというかなんというか。おもろいやっちゃ。 (5/23/03)