Mars Audiac Quintet ★★★★

Mars Audiac Quintet

Stereolab / Mars Audiac Quintet

::★★★★::1994::Elektra::pop::rock::club::lounge::
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フレンチ・ブリティッシュ(ブリティッシュ・フレンチ)なグループ、ステレオラブの有名な「Emperor Tomato Ketchup」(1996)の前のアルバム。つまり、トータスのジョン・マッケンタイヤーなど、シカゴの「ポストロック」シーンとつながりを持ち、サウンド変革をする前の作品ということになります。ということで、このアルバムは非常にまっとうな内容というか、60年代フレンチポップス、映画音楽、サイケデリア、ラウンジ音楽というステレオラブのいつもの要素がそろっているのは言うまでもないですが、このアルバムはそれらが実にストレートな演奏と楽曲で提供されています。そらもう拍子ぬけするほどまともです。音に厚みはあるし、ドラムもタイト。曲もアップテンポのものが多いし。その上、曲もシンプルなアレンジで、親しみやすい。もしかしたらステレオラブでもっとも穏健なアルバムといえるのかな。でも良い曲ばかりで、何度聴いても飽きないというか、いつもの執拗な反復感覚とヘタでやる気のなさそうなフランス語ボーカルが相乗効果を生んで聴いていてくらくらと眩暈がしてきます。個人的に一番好きなのは3曲目の「Transona Five」。ブギー調の曲で、ステレオラブにしては泥臭い、ダウントゥアースなグルーヴなんですが、そのうえにあのやる気のないフランス語なまりの英語歌詞が乗るのですから、なんつうか、嗚呼、また眩暈が‥。 (5/12/03)