It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back ★★★★★

It Takes a Nation of Millions

Public Enemy / It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back

::★★★★★::1988::Def Jam::hip hop::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

言わずとしれた、革命的一枚。ヒップホップ史上に置いて革命的であるのと同じくらい、ヒップホップ以外の世界(特にオルタナティブ・ロック、そしてクラブ音楽)にとっても革命的な一枚であったと言えるでしょう。英語がすっと耳に入ってこない日本人としては、プロデューサー・チームのボム・スクワッド(ハンク・ショックリー&エリック・サドラー)のサウンドがとにかく耳を惹きます。特に、イントロの曲の次の2曲目から5曲目までの4連発(「Bring The Noise」、「Don't Believe The Hype」、「Dold Lampin' With Flaver」、「Terminator X To The Edge Of Panic」)のインパクトがすごすぎる。ヒップホップ史上だけでなくポピュラー音楽史上さんぜんと輝く名曲「Bring The Noise」は、サックスのフレーズのループがまるでスラッシュメタルのギターのように重い。チャックDの冒頭の「Bass! How low can you go?」というフレーズがあまりに有名。続く「Don't Believe The Hype」は、タイトルを連呼するフレイヴァー・フレイヴの声のサンプリング・ループがこれまた激有名。続く「Cold Lampin' With Flavor」はそのフレイヴァー・フレイヴのソロ曲。冷静で知的なチャックDのバリトン声と対照的に、教育があまりなさそうな道化的ドキュソ、フレイヴァー・フレイヴのひきずるようなチンピラっぽいラップの、崩れそうで崩れない絶妙の与太ったリズムは本当に最高。バックトラックはボム・スクワッドの最高傑作かも。緻密につくりこまれたサンプリング・ビートはほとんど現代芸術。そして、DJのターミネーターXをテーマにした「Terminator X To The Edge Of Panic」。イントロの無理矢理な「フラッシュ・ゴードンのテーマ」(by Queen)のカットアップが笑えます。しかしその後は腰のある重いビートと高周波ノイズの組み合わせによるハードコアな音。音数の少なさが逆に不気味なカッコ良さにつながっています。他の曲も良いのですが、最後まで聴くと疲れるというのが正直な感想。それほど濃い一枚です。 (3/16/03)

[追記]iTS USのは1曲欠け…しかもベストトラックの一つ「Terminator X To The Edge Of Panic」が。たぶんイントロの「フラッシュ・ゴードンのテーマ」の馬鹿馬鹿しいベタなサンプリングが権利関係をクリアしなかったんだろうな…。iTS JPのは全曲揃っていてしかも1050円という安さ!(6/22/06)