Jordan: The Comeback ★★★★★

Jordan: The Comeback

Prefab Sprout / Jordan: The Comeback

::★★★★★::1990::Epic::pop::rock::
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プリファブ・スプラウトの頂点といえる大作。全19曲。相変わらず、アメリカなど非ブリティッシュなノスタルジックな文化へのオマージュを非常にブリティッシュなセンシビリティーをもって表現しています。わりにシンプルなポップスに徹していた前々作「From Langley Park To Memphis」に対し、こちらはよりロック・ポップスの様式から離脱し、ふつうのロックバンド編成なのにまるでフルバンド/オーケストラの演奏であるかのような、めくるめくような音の風景が広がります。と、こう書くと構えて聴かねばならない気になるかもしれませんが、実際は重厚さは少しも感じられずあくまで軽やかなのがこのアルバムのすごいところ。これもひとえにリーダーのパディ・マカルーンの作曲の才能ゆえ。無理して大作を構築したという気負いよりも、とにかく曲が次から次へとあふれだしてしまったという自然さがあるんですよね。プリファブ・スプラウトはこのあと7年間の沈黙に入り、その後、「Andromeda Heights」という本作と似た感触のアルバムを製作しますが、やはり「Jordan: The Comeback」には比べられないというか、本作の重厚さと軽やかさの絶妙のバランスは決して超えることはできないんだろうなと改めて思ったりします。 (3/16/03)