Innervisions ★★★★★

Innervisions

Stevie Wonder / Innervisions

::★★★★★::1973::Motown::pop::soul::r&b::
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スティーヴィー・ワンダーの最高傑作。とぼくは思っています。70年代のワンダーは本当にすごくて、いわゆる「ニュー・ソウル」の流れに乗って(そして先導して)、黒人音楽界特有の芸能界システムを脱却した「自立したソウル・アーティスト」として、作詞作曲、セルフ・プロデュースはもちろん、ほとんどの楽器を自分で演奏し、社会性の高い歌詞や内省的な歌詞をうちだし、深みのある音楽作品を次々と発表していきました。で、スティーヴィー・ワンダーはもともと天才的な作曲能力を持っていたわけですが、このアルバムではそれが完全に開花しています。1曲目、独創的なコード進行の内省的ファンク・ナンバー「Too High」から、アコギ中心の、さらに内省的なタイトル曲に続く出だしもインパクト大ですが、個人的にはtr4「Golden Lady」とtr8「Don't You Worry 'Bout A Thing」の二曲のジャジーなポップ・ナンバーがハイライトですね。特に前者。サビ前の展開はまさに天才的。複雑なコード展開なんだけど、それでいて実にさりげなく耳に心地良い。で、サビは非常にシンプルなのがスティーヴィー・ワンダーらしい美意識なんだよね。ドニー・ハザウェイだったらここでサビも難解なコード展開にするところじゃないかと思うんだけど、スティーヴィー・ワンダーは引きがうまいんだよね。そのへん、さすが子供のころから芸能界にいただけあるというか。他にも「Living For The City」、「Higher Ground」(←レッチリのカバーも有名な)といった有名曲も収録。捨て曲もない名盤! (3/8/03)