I'm Still In Love With You ★★★★

I'm Still in Love With You

Al Green / I'm Still In Love With You

::★★★★::1972b::Hi::pop::soul::r&b::
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名作「Let's Stay Together」の成功を受けて、よりメロウでスウィートな方向をうちだしたアル・グリーンの4作目。鈴木 "偏屈" 啓志氏がこのあたりのスウィート路線をケナしてましたが、この時期は一般的には評価の高く、アル・グリーンの最盛期と言える時期です。でも鈴木氏の批判もわからないでもない。「Let's Stay Together」ではまだ骨太さが残っていたのに比べ、このアルバムはかなり軟派。グリーンのボーカルも声を押し殺した、ウィスパー唱法に徹しすぎているきらいもある。また、スウィートさに徹しすぎたあまり、アルバム後半の勢いがないというか中だるみがあるのよね。ロイ・オービソンの「Oh, Pretty Woman」のカバーも、悪くはないけど、「まあ、そんなもんかな」ぐらいの出来だし。2作目のテンプテーションズのカバー、「Can't Get Next You」や3作目のビージーズのカバー、「How Can You Mend A Broken Heart」のような斬新で独創性のあるカバーに比べるべくもないという。というように、欠点がいろいろあるアルバムですが、それでも、アルバム前半の出来は本当に良い。冒頭のタイトル曲は、メロメロにスウィートで、しかもその過剰さが横すべりせずに説得力をもっている。続く「I'm Glad You're Mine」はアルバム中唯一骨太さを感じさせるファンキー・ナンバーで良い出来だし、続く「Love And Happiness」はイントロのギターのフレーズが印象深い超有名曲。そしてひときわ異彩を放っているのが「Simply Beautiful」。メロウ&スウィート路線のグリーンを象徴するような曲だけれど、スウィートさを通りこしてダークささえ感じさせる。完全にソウル・ミュージックの殻を破ってます。グリーンの強烈なミュージシャンシップを感じる一瞬です。 (3/5/03)