How Insensitive ★★★★

ハウ・インセンシティヴ+1(紙ジャケット仕様)

Duke Pearson / How Insensitive

::★★★★::1969::Blue Note::jazz::brazil::
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ドナルド・バード一派のピアニスト、デューク・ピアソンのアルバムですが、かなり特殊な内容。AMGの評では、「it's a very interesting failure and one of the strangest by-products of Blue Note's late-'60s commercialization」(非常に興味深い失敗作であり、60年代後半のブルーノートの商業化路線の副産物の中で最も奇妙なものの一つである)とあり、非常に言い得てると思います。内容的には、コーラスを多用したポピュラーソングのカバーと、ブラジル系ジャズの曲とが半々にまじった内容。前者はどこかミュージカル風でもあり、後者のブラジル路線の曲のラウンジーな雰囲気と全然融合してない。選曲やアプローチからして、明らかにイージーリスニングを目指しているのに、どこかイージーリスニングになりきれてない。そんなちぐはぐな内容(AMGの評も★★どまり)なので、ぼくも最初は敬遠していたのですが、ブラジル路線のうちの一曲、「Sandalia Dela」という曲が非常に良いんですね。アップテンポのボサ・ジャズ・ナンバーで、清々しい女性ボーカルも良いし、それに呼応するピアソンのピアノがとても良いのですよ。ジャズがボサ・ノーヴァをとりいれるとどうしてもイージー・リスニング調になって嫌なのですが、この曲は、ピアソンの出すぎないリリカルなピアノがとても良いアクセントになっていて、何回聴いても良いんですよ。あと、コーラスものですが、ブラジル系の「My Love Waits」のピアソンのピアノも良くて好きなんですね。で、繰り返し聴いているうちに、他のコーラスのポピュラー曲の方も好ましいものに思えてきたりして、結局、軽いリズムでくつろぎたいときなどにこのアルバムを聴くようになった次第です。ということで、うちではけっこうなヘビーローテなCD。 (2/21/03)