From Enslavement To Obliteration ★★★★

From Enslavement to Obliteration

Napalm Death / From Enslavement To Obliteration

::★★★★::1988::Earache::pop::rock::
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ナパーム・デスの二作目。今回も絶好調。一曲平均1分10秒強。数秒の曲が2曲。20秒〜35秒の曲が4曲。でも数秒の曲は、前作収録の伝説の「You Suffer (But Why)」(2秒)にはかないませんね。てゆーか、やっぱ5秒切る曲はキワモノだし。って、ナパーム・デス自体キワモノじゃないのかという意見もあるでしょう。ある意味そう。史上最強のお笑いバンドのひとつ。いつ聴いても笑える。しかも本人たちはきわめてマジであり、そして歌詞も非常にヘヴィ。それでいて、やはり何回聴いても笑える。でもバカにして笑ってるわけじゃないですよ。敬意をもった笑いです。って書けば書くほど言い訳じみてますな。

本作は基本的に前作の延長線上にありますが、はっきり言って前作よりはるかに良い出来。特にサウンドが良くなった。ギターの音の輪郭もよりクッキリしてきたけれど、特筆すべきはやはりミック・ハリスのドラムか。スネアおよびハイハットの音の処理が独特でどこかメカニカルな印象あり。そして時にファンキーささえ感じさせます。のちに、スコーンなどのプロジェクトでダブや音響系に鞍替えするハリスですが、そんな意欲的な方向性の萌芽をここにすでに感じます。それから、このアルバムは超高速ビートが中心ですが、スワンズみたいな超低速の曲で幕をあけるし、他の曲でもところどころミディアムテンポをまぜたりして、緩急がうまくつけられているのも良いです。そしてすばらしすぎるリー・ドリアンのボーカル。「ヴォーヴォヴォヴォーッ! キャーキャキャキャーッ!」というゴリラ系低音とチンパンジー系高音の組み合わせがたまりません。あいかわらず人語とは思えませんが、ちゃんと英語だというからいつものことながら笑えます。ほんとに褒めてんのかとお叱りをうけそうですが、いや、ほんとに褒めてんだってば。マジで名作です。 (2/2/03)