From My Heart ★★★

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米光美保 / From My Heart

::★★★::1994::Epic::pop::jp::
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東京パフォーマンスドールのディーヴァだった米光美保の独立後の一枚目。米光美保というのは、「アイドル離れした」という表現がぴったりの深いシンガーなんです。彼女の何がすばらしいかというと、低音に深みと迫力があるところです。歌というのは、高音のほうが派手に聴こえるし通りが良いのですが、高音をキンキンはりあげるのはボーカル・テクニックとしては難しくないんですよ。それを分かっているから、小室なんかはヘタクソな女性シンガーたちに声を張りあげさせる曲を歌わせて胡麻化すわけです。しかし逆に、低音をきちんとコントロールして魅力ある歌にするのは難しいんですよ。難しいわりに聴き手の側としてはじっくりと耳を傾けないと良さが聴きわけられないから、低音をきちんと歌える上手なシンガーは高音をはりあげるヘタクソなシンガーに駆逐されてしまう。残念ながら米光美保もブレイクすることなく消えてしまった。残念なことです。でもその責任の半分ぐらいは曲を提供してプロデュースした角松敏生にあるんですけどね。個人的に大嫌いなんですよね、角松の下品な音づくり。で、このアルバムも角松のサウンドプロダクションはほとんど最悪。おまえはいつまで80年代ひきずってんだよ!とツッコミたくなります。曲も全体に凡庸。というか、なんなの、このアルバムタイトル? 「From My Heart」? 中学生の英語かよ! 個々の曲を見れば、えらい大仰なシンセ・ポップ・ナンバー「あなただけ感じて」、大味なスクリッティ・ポリッティという風情の「Into The Good Time」、バラードの「Sleepless Dreamer」など、悪くない曲もいくつかあるんですが‥この過度なキラキラ音世界と歌詞はどうにかならんものか‥。米光美保のボーカルは瑞々しくて良いのですが。 (1/23/03)