The Flowers Of Romance ★★★★★

Flowers of Romance

Public Image Ltd. / The Flowers Of Romance

::★★★★★::1981::Warner::pop::rock::avant-garde::
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前のスタジオアルバム「Metal Box」とならぶPILの二大傑作のひとつ。ぼくは長らくこのアルバムこそがPILの最高傑作!と思っていましたが、今は「Metal Box」の評価が自分の中であがっているので、うーんやっぱり「Metal Box」の方が最高傑作か?と思ったりしないでもないのです‥なんていう戯言はともかく、やはり素晴しいアルバムです。「Metal Box」のサウンドの要がキース・レヴィンのギターとジャー・ウォブルのベースだったとすれば、本作の主役はとにもかくにもマーティン・アトキンズのドラム! というか、ほとんどリズムだけのアルバムと言っても良いでしょう。ジャー・ウォブルはすでに脱退していたし、キース・レヴィンはギターよりシンセに興味があったらしいし。とにかくベースやギター、いやシンセの音さえほとんど聴こえてこない、ハードなリズム、リズム、リズム。そこにジョン・ライドンの呪術的ボーカルが自由に浮遊します。音楽的土台は古き良きロケンロールだったセックス・ピストルズのはったりカリスマ・シンガーが良くぞここまで来たものです。それほど「脱ロック」なアルバム。もちろん、ここにはミニストリーナイン・インチ・ネイルズといったのちのインダストリアル系の源流があるのは明らかだし(というか、マーティン・アトキンズはその系統の有名人物となるわけであるし)、レイディオヘッドあたりの源流のひとつもここにあるのかもしれないなと思わせるあたり、確かに「ロック」として重要な意義のあるサウンドなのですが、しかし、1981年という時代を考えあわせるとおそろしく脱ロックで脱ポップスだったと言えましょう。おそるべき作品。超カッコイイ。ちなみに、この後PILは商業路線へと舞い戻っていきます。そのあたりの方向転換が謎。というかきまぐれなライドンらしいというか。 (1/14/03)