Fire And Water ★★★★

Fire and Water

Free / Fire And Water

::★★★★::1970::A&M::pop::rock::
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地味。一言、地味。派手なのは大有名曲「All Right Now」ぐらいでしょうか。しかし何回も聴くとこの地味さが良くなってきます。基本的には、てゆうかモロにブルーズ・ロック・バンドなフリーですが、ブルーズ、ソウルといった黒っぽさと、70年代シンガーソングライター的な白っぽさのまざり具合が微妙な味わいを生んでいてよいですね。その魅力の90%はもちろんポール・ロジャースのボーカルにあるわけです。彼は全体的には淡白なボーカリストで、それゆえブルーアイド・ソウル・シンガーらしい「全体的には白いが黒い味わいもある」といううまい落としどころに落ちついています。ちなみに一番黒い曲はtr5「Mr. Big」で、ヘヴィーなサザン・ソウル/ブルーズ・ソウル的な曲。しぼり出すようなロジャースのボーカルが最高。でもアルバム全体に言えることだけど、そしてこんなことを言うと殺されるかもしれませんが、バンドの演奏がショボい。なんかリズム隊が軽いのよね。そんでもってベースソロが最悪。ベースソロの終わりごろからフェイド・インしてくるポール・ロジャースのシャウトが、ぼくには「ええかげんにしなさい!」とツッコんでいるように聴こえる。そんなわけはないが。話がズレましたが、しかしフリーの本当の良さはやっぱりもっと白っぽい、キャロル・キングっぽい曲、たとえばtr2「Oh I Wept」やtr6「Don't Say You Love Me」にある気がします。特に後者が好き。「Don't say you love me, don't say you love me, 'cause I know it would be just a lie」と繰り返し歌うロジャースは、ほんとうに文字通りのブルーズシンガー。ぐっときます。 (1/6/03)