Electric Byrd ★★★★

Electric Byrd

Donald Byrd / Electric Byrd

::★★★★::1970::Blue Note::jazz::
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ベテラン・トランペッター、ドナルド・バードのアルバム。ロック的要素を大幅にとりいれたエレクトリックな内容ですが、このアルバムを最初に聴いたときは、「おいおい、これじゃただのエレクトリック・マイルズ(=60年代末から70年代中頃までの、エレクトリック・ギター、エレクトリック・ベースをフィーチャーし、ロック的なビートを押しだしたマイルズ・デイヴィス)のパクリじゃん!」と思ってしまいました。サイケデリックなエレクトリック・ギターに浮遊するようなトランペット。特定の構成もなく曲が流れる。それに曲が長い。それにテンポがたるい。というわけでこのアルバムはすぐにCD棚の奥にしまわれました。で、今回ひさびさにひっぱり出してきて聴いてみたんですが‥あれ? けっこう良いぞ。なんでだ? ←なんでだじゃねーだろ。いや、エレクトリック・マイルズに触発されて製作されたアルバムであるのは確かなんですが、マイルズのトンガった感じとはちょっと違ったレイドバックした感覚があるのが良い。一曲目の「Estavanico」とか、どこかラウンジ的というか、メキシコや中米のノスタルジーもあるというか、それでいてどこかサイケデリックで、聴いていてとても気持ちいい。それから、3曲目「Xibaba」の、虚空に響くといった趣きのバードのトランペットが非常にカッコいい。曲全体としてはひたすらマターリとパーカッシブでこれも良い。ラストの「The Dude」はオーソドックスなジャズ・ファンクだけど、これもどこかレイドバックしていて、しかも軽やかに重厚なリズムで、これまた良いです。というわけで、何気に好作品だと今さらに気付きました。いやはや、いい加減です>オレの耳。 (1/1/03)