Electric Savage ★★★★

Electric Savage

Colosseum II / Electric Savage

::★★★★::1977::MCA::pop::rock::
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コロシアムのジョン・ハイズマンのユニットで、デビュー作ではボーカリストがいたものの、このアルバムからインスト専門バンドとして方向性を徹底します(ゲイリー・ムーアが時々ボーカルをとりますが)。このアルバムのメンバーは、ハイズマン、ゲイリー・ムーア(g,vo)、ドン・エイリー(key)、ジョン・モール(b)。アプローチとしては、ジャズロック/フュージョンロックに徹しています。その意味で散漫だった前作と違い、非常に統一感のある内容となっています。が、その分薄味というか。てゆうか、テクニシャン揃いとはいえ、みんなロック畑のミュージシャンなので、フュージョンに徹するのは少々無理があるんじゃないかと。特に中心となるゲイリー・ムーア。ギターのフレーズにしつようにビブラートをかけるのが非常にうっとおしい。ボーカリストにしてもギタリストにしてもメタル系のひとってのはどうしてこうもビブラートが好きなんでしょうねぇ。ゲイリー・ムーアの場合、ソロのフレージングもロックそのものでジャズのジの字もないので、なんだかなぁと思います。フュージョンやってもなぜか無理なく存在感をだせてしまうジェフ・ベックと比べると差が激しすぎます。そうそう、このアルバムはジェフ・ベックの「ブロウ・バイ・ブロウ」と「ワイヤード」というジャズ・ロック/フュージョンの名作の後に発売され、しかも雰囲気も似ていたので、ムーアは「ジェフ・ベックのまねっこ」と酷評されたりしたようですが、似ているのはサビのフレージングとかだけで、ソロは似ても似つかないですね。やっぱり「Am I」のようなロックバラードでのムーアが一番イキイキとしてます。

とはいえ。こんだけボロクソに言っておいてなんですが、けっこう好きなんです。なんというか、やりたいことは痛いほどわかるんだよなぁ。いまいちサマになってないだけで。てゆーか、ドン・エイリーのキーボードがダサすぎ。おっと、褒めるつもりがまたケナしてしまった。でも「ロッキッシュなフュージョン」として、「Put It This Way」、「Desperado」、「Intergalactic Strut」あたりはカッコいいですよ。ハードロック・フュージョンといったほうがいいか。はっきり言ってダサいけど。そのダサさが憎めない。時にカッコいいと思ってしまう、そんなB級アルバム。 (1/1/03)