トッド・テリーについて

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Todd Terry

トッド・テリー (4/18/1967-)
genre: club/house

【概観】

NYを中心に活動するハウス・オリジネーターの一人。オレの理解では、マーシャル・ジェファースンやスティーヴ・シルク・ハーリーなどといった最初期の世代の「次」の世代という印象があるので、「第2世代」ということになるかもしれません。が、ハウスの歴史は、クラブ音楽の中ではかなり長く多岐にわたっているため、第何世代とか言うこと自体あまり意味がないかもしれません。

ただ、オレの中では、80年代後半のトッド・テリーの登場というのは印象深いものとして残っています。アンダーグラウンドながらも「ディスコ」の流れを受け継いでいたといえる最初期ハウスに、トッド・テリーはカットアップやサンプリングといったヒップホップ的な要素を大幅に盛り込み、解体・再構築しました。ハウスという音楽はトッド・テリーにより飛躍的に「洗練」されたと言えるのではないでしょうか。

また、トッド・テリーのリズムもそれまでにない特徴的なものでした。それまでのハウスのビートといえば、割りに重く、場合によっては派手なものが多かったのですが、トッド・テリーはマイアミ・ベースやフリー・スタイルの影響か、「重さ」よりも「鋭さ」を重視したリズムで殴り込みをかけてきました。「チキチー・チキチー」というヒス・ノイズに近いようなハイハットを執拗に繰り返して強調し、ブリキの缶を棒切れで叩いているかのような、抑揚のない軽いスネア音をフィーチャーして、冷たく無機質かつスタイリッシュなビートでフロアを魅了したのであります。当時は、ベースメント・ボーイズ、マスターズ・アット・ワーク、パル・ジョイなど、トッド・テリーの開拓した新しいビートに直接影響を受けたサウンドクリエイターが続出しました。また、トライバル・ハウスを積極的に取り入れた功績もあります。

トッド・テリーのオーバーグラウンドでの最大のヒットは、エブリシング・バット・ザ・ガールの「Missing」(1994)のリミックスですが、その後、テクノ、ビッグビート、エレクトロニカドラムンベースなど、ハウス外での大きな動きとともに、ハウスの世界もかなり様変わりし、トッド・テリーのような、シンプリシティーとモノトニシティーに重きを置くDJは主流ではなくなっている印象があります。…といってもオレ自身ハウスをここ10年のハウスをほとんどフォローしていないので間違っているかもしれませんが。トッド・テリーは現在でも地道に着実に活動している模様です。

(4/30/2007)