Dose ★★★★★

Dose

Latin Playboys / Dose

::★★★★★::1999::Atlantic::pop::rock::experimental::
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出ると思っていなかったラテン・プレイボーイズのセカンド。これがファーストに増して素晴らしい。ラテン的色合いを基調にしつつ、さまざまなノイズや、奇妙な音ども、フィールド録音したような断片、甘くて乾いた歌、それらが混然となって抽象的でどこかノスタルジックな世界を築き上げます。5年ぶりのこの新作、アトランティックという大手からのリリースだし、妙に保守的になってないかなぁとか心配していたのですが、冒頭のわきあがってくるブーンというギターのノイズを聴いた瞬間その心配も消え去りました。結論からいえば、この作品は、前作の実験性を保持しつつ、より曲の魅力が増して、なんというか、円熟したオトナの前衛ロックという雰囲気でしょうか。前作は、とにかく、音の斬新さが印象に残って、一方、楽曲の印象はそれほどなかったのですが、今回は良いなあ、と思う楽曲がいくつもあります。ボーカル曲では、ペラペラの乾いたギターの音が最高にいかす&ファンキーなtr2「Cuca's Blues」、はっきりと沖縄音楽の影響を感じるtr4「Mustard」、ラウンジ・ブーガルー的tr7「Latin Trip」、ブルージーで艶かしいtr9「Lemon 'N Ice」など、いずれも非常に魅力的な歌曲。インスト曲(語りの曲を含む)は、より前衛的ですが、こちらもいずれも素晴らしい。前回よりずっとラテン色が強いですね。個人的にはラストの2曲がいいなぁ。おもわず踊り出したくなるような陽気なメロディ。こういう「踊り出したくなるよな」なんて要素は前作にはなかったように思います。とにかく奥深く味わい深く、そして過激な作品です。 (12/21/02)