DJ Kicks ★★★★

DJ Kicks

Smith & Mighty / DJ Kicks

::★★★★::1998::!K7::club::dub::trip hop::d&b::
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トリップホップのオリジネーターといえばやっぱりマッシヴ・アタックですが、しかし、その原型を形作った偉人ユニット(?)といえばスミス&マイティーであるわけです。彼等が特に1990年前後にプロデューサーとして活躍していたころ、時期的にイギリスではSoul II Soulのグラウンドビートが席巻していたころなので、その流れでとらえられることが多かったわけですが、彼等のプロデュースしたカールトンのアルバムなどを聴くと、「こ、これはトリップホップ!」という感じです。グラウンドビートというものも基本的にレゲエ/ダブの影響を強く受けており、その意味でスミス&マイティーの音も確かに「グラウンドビート」と呼びうるものだったのですが、スミス&マイティーの場合、(1) ソウル的な色合いがSoul II Soulよりもぐっと薄く、(2) ダビーな音響処理により重点を置き、(3) ビートにより実験性があり、そして(4) 非常にダークであるという点で、「そりゃトリップホップ!」と言わざるを得ないわけですね。

で、前置きが長くなりましたが、このアルバムはそんなスミス&マイティーによるDJミックス。本人たちの手によるリミックスが中心らしいですが、ぼくの知識ではよくわかりません(汗)。で、とても良い内容。前半のダブから後半のドラムンベースまで、スミス&マイティーの美学が貫かれています。また、ぼく自身は未聴だった、初期の代表作であるバカラックのカバーもさわりが聴けて幸せ。特に「Walk On By」のかっこよさ! 後半のドラムンベースのトライバルで機械的なビートが少々時代を感じさせるけど(そりゃ4年前の作品ですから)、好作品。 (12/17/02)