Coast To Coast Motel ★★★★

Coast to Coast Motel

G. Love and Special Sauce / Coast To Coast Motel

::★★★★::1995::OKeh::pop::rock::
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なんつうか、ここまで「ユルい」若手ロッカーもなかなかいないんじゃないでしょうかね。フィラデルフィア出身の3人組。とにかくすべてがヨレヨレ。特にGラブ本人のギター&ボーカルがヨレヨレ(笑い。で、ヨレヨレでいながら超カッコイイのがこいつらの憎いところです。音楽的には、ブルーズ、しかもクラプトンとかのようなキレいなホワイト・ブルーズじゃなくて、R.L.バーンサイドのような、泥にまみれたようなブルーズ。録音がアバウトなところとか、Gラブのボーカルのあからさまに南部なまりを模した発音とか、非常に「南部」を意識した音楽です。レーベルも「OKeh」だし。しかーし! そういう表層的な渋さとは裏腹に、全体の印象は決して渋くない。泥臭くもない。というのも、彼らの音楽は、あきらかにパンク、オルタナティブ、グランジ、そしてヒップホップを通過したものだからです。そしてとてもポップ。ギターも歌もリズムもヨレヨレでボロボロですが、ポップミュージックとして完全に成立していて、そのあたりほんとはクレバーなんだろうなと思わせられます。それこそがGラブの強みであり、弱みでもあるんですよね。でもこのアルバムはそのあたり、うまいバランスをたもってます。とにかくどの曲もカッコいい! ぼく、このギターをちょっとだけコピーしてみたことあるんですが、おそろしく簡単なことをやってるんですよ。「お、このギターのコードの不協和音の鳴りは天才的だな」と思ったら実はただの開放だったり(笑い。究極的なローファイ・ブルーズですね。これはまあ、やっぱり天才なんでしょうな。 (11/30/02)