Can You Still Feel? ★★★★

Can You Still Feel

Jason Falkner / Can You Still Feel?

::★★★★::1999::Elektra::pop::rock::
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パワーポップの良心、ジェイソン・フォークナーの2作目。てゆーか、1作目が1996年で、3年後に2作目、ビートルズのカバー・アルバムは出たけど、純粋な意味での3枚目は未だ出ず。うー、ポップ・アーティストとしては寡作すぎるよぅ!と思うのですけど。でも、パワーポップってシンプルさと勢いとちょっとしたヒネリのバランスが難しく、一度スランプになるとなかなか立ちなおれなかったりする難しい分野なので、その意味でもあまり量産しないようにしてるのかな。3、4分のシンプルな楽曲が輝くかどうかというのは本当に微妙なさじかげんで決まるんですよ。計算だけではだめで、計算されない勢いや輝きというのが曲を宝石にするかただの石ころにするかを決定する。その意味で、パワーポップ・アーティストというのは意外に短命なのです。パワーポップ・アーティストの作曲能力というのは確実に摩耗するんですよね。チープ・トリックも、70年代前半〜半ばは、どんなにポール・マッカートニーのパクリをやっても輝いていいて絶好調でしたが、80年代は本当に低迷しました。曲からどんどん輝きがなくなっていって、しまいには外部のソングライターに作曲を依頼したりして、痛々しかった(今は初心をとりもどし、元気いっぱいですが)。マシュー・スウィートあたりも現在、低迷してます。あんなに良い曲を書いていたのに、ほんとにちょっとしたつまづきで輝きがなくなるんですよね。奥田民生とか、その点すごいですね。資質的にパワーポップな人なのに、そこに泥臭さを導入することによってパワーポップに「渋味」を導入することに成功しまった。

えーっと、前置きが異様に長くなりましたが、ジェイソン・フォークナーです。彼の場合は、ほんと、曲がすべてなので、ことさらに作曲能力の摩耗が恐いです。正直、この2作目はあきらかに1作目より落ちている。ちょっと心配です。でも、このアルバムは、イントロ的1曲目に続く、2曲目「Author Unknown」(←ファースト・アルバムのタイトルやがな‥)がほんっっとうに良い! シンプルで、かつ、コード進行のちょっとしたひねりが天才的。で、この曲の輝きにささえられて、アルバム全体の印象がはっきりと底あげされてます。他の曲も良いんですよ、それなりに。でも「Author Unknown」がなければ、決め手に欠ける作品になってたでしょうね。パワーポップ・アーティストにとって、本当のキラー・ソングをアルバムに一曲収録出きるかは、もう、ものすごく重要なんだとあらためて考えさせられます。というわけで、おすすめ。好盤。 (11/20/02)