Black Secret Technology ★★★★★

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A Guy Called Gerald / Black Secret Technology

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イケイケ・ラガ系じゃないジャングル、つまり言わゆる「ドラムンベース」の初期の本格的作品として、たとえばゴールディーの「Timeless」のような華々しさはないけれども忘れることができない傑作アルバム。どちらかというとデトロイト・テクノの路線だったマンチェスター出身の黒人、ジェラルド・シンプスンのドラムンベース転向後のアルバムであります。1曲目「So Many Dreams」を聴いたときの衝撃は忘れられません。ディープなキーボードが鳴る中、イフェクトで極度に加工されたシンプルな6/8 的リズムが複層的にからみあいます。意図的にくぐもった感じに処理された女性ヴォーカルがまた実にソウルフル。ジェラルドは以前から独特の黒い感覚をもってましたが、ここでも本領発揮といったところでしょうか。ゴールディーの少々叙情的すぎるアプローチとちがってどこかドライで、しかもアンダーグラウンドっぽい雰囲気がプンプンしているのが特徴です。その他も、トライバル的リズムにアンビエント・シンセの乗ったシンプルな曲が続きます(ちなみに、tr5「Energy」はゴールディーとの共作)。アンビエント的と書きましたが、どちらかといえば直線的なビートのアート・コア系とは違って、より複雑で瞑想的リズムですね。アルバム裏ジャケにも「ソウル、ヒップホップ、ハウス、テクノ・オールド・スクール・スタイル以前に、人類誕生の頃からトライバルなリズムが存在していた」ということがのべられていて(その秘められた効果がブラック・シークレット・テクノロジーらしい)、トライバル・ビートへの興味が語られています。アルバム一枚だとちょっと飽きるところもあるけど、捨て曲はないし、語り継がれるべき名盤ではあるでしょう。

ちなみに、1997年に再発されたバージョンも存在して、ジャケ、内容ともに変更が加えられています。内容的には、わりにポップな「Hekki And Koch」と「Touch Me」という曲が加えられていて、「Voodoo Rage」とシークレット・トラックのレゲエの曲が削られています(「Voodoo Rage」けっこう良かったのにな)。また、前述の「So Many Dreams」が大幅にリミックスされていて、ちょっと毒抜きされたかなという気がしないでもないのですが、これはこれでありか。 (10/25/02)

[追記12/26/06]Bleep.comでダウンロードできるのはオリジナルバージョンです。Great!!