Back To Basics ★★★★

Back to Basics

Maze featuring Frankie Beverly / Back To Basics

::★★★★::1993::Capitol::r&b::
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ぼく、メイズってけっこう好きなんですよ。なんでかな。よくマーヴィン・ゲイからの影響を言われる人ですが、確かに、姿勢は通じるものはあるし、マービンにささげたアルバムもあるし、メッセージ色があるところも似ていると思うけど‥でもそういう精神的な部分をのぞくとあんま似てないと思うんですけどね。ボーカル・スタイルは似てないし、それに、フランキー・ベヴァリーはバンドで活動するということに非常にこだわっているので、ショービズどっぷりだったマーヴィン・ゲイとは立つ場所がぜんぜん違う。そして、マーヴィンがいつでも崩れさりそうなあやういはかなさをただよわせていたとすれば、フランキー・ベヴァリーはたとえ売れなくてもいつまでも地に足をつけて活動しそう。ということで、ぼくにとっては全然違うんですが、‥って、前置きがながすぎ。ぼくがメイズが好きなのは、なんというか、すごく「まっすぐ」だというところでしょうね。演奏もまっとうだし、歌は丁寧に力強く歌われる。音楽的にとんがったところはなく、むしろフュージョンじみたところがあるけれども、だからといってイージーリスニングとはならず、硬派の臭いがする。そう、そういう生真面目なところが好きなんですよね。で、このアルバムは、メイズの作品としてはマイナーなもので、それほど評価が高くないものなんですけど、実に生真面目な内容でイイ! たしかに、メイズの作品としてはメッセージ色が薄いし、これといって売りがない。曲も演奏も、いつもより硬質な感じ。だけど、その硬い感じがいいんだけどなぁ。わかってくれよ、世の中のみんな。って誰に言ってるんだか。実際、「Morning After」とかバラードの「Don't Wanna Lose Your Love」とか、ミディアム・ファンクの「Laid Back Girl」とか、地味で渋い曲がめじろおし。ダサいフュージョン風味がときどき顔をだすのも愛敬です。 (10/12/02)