Light Years ★★★

Light Years - England

Kylie Minogue / Light Years

::★★★::2000::EMI::pop::rock::club::
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しらんかったけど、イギリスではカイリー・ミノーグはちゃっかり復活しているらしい。アイドルとして出発して、歳をとってもクレバーでポップで大胆なプロダクションと方向性で生き抜いているという点でマドンナと比較されたりしているそうな。もちろん、マドンナと比べるとマドンナが怒ると思うけど‥(アイドル時代の作品のクオリティーを比べてもマドンナの方がずっと高かったし、第一、カイリーと違ってマドンナは一度も低迷した時期がない)。で、このアルバムは、そんなカイリーのブレイクスルーとなった作品であるそうです(アメリカでは発売されなかった!)。実際、非常に良く出来た作品です。意識的に安っぽいディスコっぽさを逆手にとって、それを洗練した形で提示して、レトロフューチャー的な味を出すのに成功している他、オールディーズっぽい雰囲気をとりいれたポップな曲や、ミュージカル/レビュー的雰囲気をとりいれた曲など、全体にバラエティーに富んでいて、それでいて統一感があります。なんで統一感があるかというと、一貫して「安っぽさを逆手にとった洗練」をめざしているんですよね。一種、セルフパロディーとしても成り立っている。また、ロビー・ウィリアムズ&ガイ・チェンバーズのコンビが数曲を提供していて、彼等のゴージャスかつどこかフェイクっぽいポップ感覚が良いアクセントになっています。そのロビー・ウィリアムズがソウルフルでファンキーなボーカルをきかせる「Kids」はこのアルバムのハイライトの一つではないでしょうか。でも、このアルバムの本当のハイライトは、妙にエロいジャケなんですけどね。

それはともかく、非常に良い作品だと思うし、All Music Guideでも4ツ星半という高い評価を得ているのですが、今いちのめりこめないという側面もあります。それはひとえに、ボーカルが今いちなんですよね‥魅力的に感じられない。マドンナも決してボーカリストとしての才能にめぐまれた人ではないと思いますが、カイリーに比べると、マドンナのボーカルのほうがはるかにカリスマ性も説得力も魅力もあると実感せざるをえません。でも好作品。 (5/16/02)