A Long Vacation ★★★★★

A LONG VACATION

大滝詠一 / A Long Vacation

::★★★★★::1981::Niagara/Sony::pop::rock::jp::
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ぼくの前後の世代なら説明不要のアルバムですね。売れたもんね〜。ある意味80年代の日本のポップカルチャーを代表する一枚じゃないかな。ウォールオブサウンド的コンセプトとビーチボーイズ的コンセプトを80年代のテクノロジーと甘いメロディとボーカルで構築した完璧な世界。こんなこと言ったらブライアン・ウィルソン信者に殺されるかもしれないけど、基本的に似たコンセプトでつくられるブライアン・ウィルソンのソロ作品群より良い作品だと思う。特に、大滝詠一は声がウィルソンよりはるかに良いですからねぇ。曲も完璧。主に松本隆による歌詞も、もう、完璧すぎます。冒頭の「君は天然色」の「くちびるツンととがらせて」という出だしからして、ボーカル、メロディ、歌詞、歌詞のリズム、すべてが奇跡的な説得力を持って聴くものにせまり、そして、サビ直前の「過ぎ去ったときしゃくだけど今よりまぶしい」の、特に「今よりまぶしい」という部分で、めくるめくような色彩が開花して、鳥肌が立つほどです。ここの歌詞は過去への憧憬があざやかな色で表現されているようで、レトロスペクティブでいながらビビッドであるというこのアルバムを象徴する瞬間ではないかと、こう思います。 (5/5/02)